老人ホームによって異なる施設のコンセプト

老人ホームと一口にいっても様々な施設があり、入居の条件やサービスは異なります。公的な施設と民間の施設を合わせると、11種類にも上ります。実際に老人ホームを探すときには、どのようにして自分に合った老人ホームを見つければよいのでしょうか。

それぞれの施設について、どのようなコンセプトで設置、運営されているのかを見て行きます。

『老人ホームへの入居で必要になる備品以外のものとは』

老人ホームは、入所型の介護施設の一種です。介護施設は運営団体や入居条件によって、11種類もの施設に分けられます。公的施設は国や地方公共団体が運営する施設で、介護保健施設とも呼ばれています。介護度の重い人や低所得者の保護に重点を置いており、国の補助金を受けて運営されていることから費用を安く抑えられます。

民間の施設は公的施設に比べて費用はかかりますが、個人のニーズに合わせた多様なサービスを受けられます。公的施設としての老人ホームには5種類あります。特別養護老人ホームは、寝たきりや痴呆症などの介護度の高い人が終身利用できる施設です。

介護老人保健施設は病院を退院しても在宅看護ができない人が、医療ケアやリハビリを受けることが多い施設です。入所期間は原則として最長6か月です。介護医療院は要介護や認知症の人のための施設で、医師や看護師が常駐しており終身利用ができます。

高齢者の住まいと生活を医療が支えるモデルとして、2018年に新たに設けられました。ケアハウスには一般型と介護型の2つがあります。一般型は、家族からの支援が難しい60歳以上の人のための施設です。原則として介護度や医療への依存度が高い人は入居できず、介護が必要になると退去しなければなりません。

介護型は、専門スタッフによる介護サービスが受けられる施設です。養護老人ホームは経済的な理由で在宅サービスを受けられない、65歳以上の人が入居できます。介護サービスはありません。民間の施設は6種類です。有料老人ホームは老人福祉法に基づき、食事、介護、家事、健康管理の4つのサービスの内1つ以上を受けられ、高齢者を入居させている施設と定義されています。

介護つき有料老人ホームは、介護が必要な高齢者のための施設です。介護が必要のない自立した人も入居できる混合型もあり、入居後に介護度が進んでも手厚い介護サービスを受けられます。住宅型有料老人ホームは、食事や洗濯などの生活支援サービスが受けられる施設です。

介護は外部のサービスになります。健康型有料老人ホームは介護を必要としない、自立して生活できる人のための施設です。食事などの生活支援が受けられ、サークル活動やイベントも充実しています。グループホームは認知症を持つ65歳以上の人が入居できます。

民間の施設ですが、施設のある市区町村に住民票がある人だけが対象です。専門スタッフのサポートのもと、少人数で可能な範囲での自立した生活を送れます。サービスつき高齢者向け住宅は高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)に基づき、60歳以上の人が入居できるバリアフリーの賃貸住宅です。

安否確認と生活相談が受けられ、一般型と介護型があります。高齢者向け分譲マンションは、民間事業者が販売し運営する分譲住宅です。富裕層向けで、特に法的な基準はありません。

特別養護老人ホームは高齢者の介護と生活支援をコンセプトとして、介護保険で要介護3~要介護5までに認定された人が入居できます。身体的な障害や認知症のため食事や排泄などの介護が必要で、自宅では介護ができない人が対象です。

介護サービス計画に基づいて入浴や排泄などの介護と日常生活の支援、健康管理や機能訓練などを受けられます。看とりの対応もしています。

介護老人保健施設は介護保険の要介護1以上の認定を受けた、65歳以上の人を対象とした施設です。介護が必要な高齢者の自立と在宅復帰や在宅療養の支援の拠点となり、リハビリテーションを提供して身体機能の維持と改善の役割を担います。

基本型、加算型、在宅強化型、超強化型、その他の5つの区分があります。入所期間は3か月~6か月です。

介護医療院は2018年の介護保険法などの改正によって新たに設けられた、長期療養を必要とする人のための施設です。日常的な医学管理、看とりやターミナルケアなどの医療機能と、生活施設としての機能を備えています。

要介護1~要介護5の認定を受け、自宅や他の介護保健施設での対応が難しい人が対象です。

ケアハウスは厳密には公的施設ではありませんが、国や地方自治体から運営のための補助金を受けた社会福祉法人や医療法人が運営していることが多いため公的な側面の強い施設です。一般型と介護型があります。一般型は家族からの支援が難しく自立した生活に不安のある60歳以上の人のための施設で、生活支援と緊急時の対応が受けられます。

介護支援はありません。介護型では生活支援だけでなく、入浴や排泄などの介護サービスを受けられます。入居の条件は65歳以上で、要介護1以上の認定を受けていることです。

養護老人ホームは老人福祉法に基づいています。老人ホームという名称ですが、介護施設ではありません。入居できるのは環境及び経済的な理由で困窮している、65歳以上の自宅で養護を受けることができない人です。高齢者の自立支援と社会的活動への復帰のための訓練、及び援助を目的としています。

食事の提供や健康チェック、社会復帰や自立のサポートを受けられます。身体的に自立していることも入居の条件となっているため、介護が必要になると退去することになります。

主に民間が運営する、生活支援と介護などを受けられる施設です。24時間介護スタッフが常駐し、一定の基準の下で都道府県の認可を受けて運営されています。介護度が低い人から認知症の人まで広く受け入れており、サービスや料金は施設によって多様です。

住宅型有料老人ホームは、食事や家事などの生活支援を受けられる施設です。介護サービスはありません。民間が運営しているため、入居の条件やサービスは施設によって異なります。

健康型有料老人ホームは主に民間が運営する、自立状態や要支援状態の高齢者を対象とした施設です。健康の維持がコンセプトになります。食事や洗濯などの生活支援を依頼することも可能で、温泉やスポーツジムなど生活を楽しむための設備が充実しているのが特徴です。

介護が必要になると退去になります。

グループホームのコンセプトは、認知症の高齢者が専門スタッフのもとで集団で暮らす家です。5人~9人のユニットで暮らしています。入居の条件は65歳以上で要支援2及び要介護1~要介護5の認定を受けている人、認知症の診断書が出ていて施設と同じ市区町村に住民票があることです。

民間企業やNPO法人、医療法人などが運営しています。精神障害や知的障害のある人も入居の対象です。

サービスつき高齢者向け住宅は、比較的生活の自由度の高い賃貸住宅であることがコンセプトです。国土交通省と厚生労働省が共同で所管しています。スタッフによる安否確認と生活相談のサービスが受けられます。対象は60歳以上で、60歳未満の場合は要介護認定を受けている必要があります。

バリアフリーなど設備の基準が設けられており、行政への届け出や登録が義務づけられています。一般型と介護型があり介護型には国の基準で介護スタッフが置かれ、介護度に応じて定額で介護サービスを受けられます。

高齢者向け分譲マンションは民間が運営する、高齢者向けの分譲マンションです。バリアフリーになっていることも多く、コンシェルジュが常駐しているなど贅沢で快適な暮らしがコンセプトになっています。設備の基準や届け出の義務はありませんがクリニックなどの高齢者向けサービスを行うテナントを入れるなど、各社とも高齢者が生活しやすい環境づくりを競っています。

老人ホームは介護施設の1つだといいましたが養護老人ホームのように介護施設ではないものもあり、老人ホームを定義することはとても難しいといえます。施設に応じたコンセプトによって設置、運営されているので、それぞれの特徴を理解することが必要です。

老人ホームは入居の条件やサービス、料金や体の状態などを考慮して選ぶ必要があります。

関連情報(ウチシルベ:老人ホーム 紹介)http://www.osumai-soudan.jp/

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